高濃度フッ素配合の歯磨きが続々発売!
これまでにもフッ素配合の歯磨き粉が各メーカーから発売されてきましたが、2017年からフッ化物濃度の上限が1,000ppm以下から1,500ppm以下まで、厚生労働省が引き上げました。欧米諸国ではフッ素濃度が高い製品が多く販売されていますが、日本ではまだ海外諸国に比べるとフッ素濃度が低いです。
コンクールジェルコートF、はフッ素950ppm
歯科医院が推奨するコンクールジェルコートFは、歯質強化と再石灰化のフッ化ナトリウムと、高い殺菌力の塩化クロルヘキジンを配合しています。低刺激のミントで磨いた後もすっきりです。
チェックアップルートケアは、フッ素1,450ppm
ライオンから発売している「チェックアップシリーズ」のルートケアはフッ素濃度が1,450ppmと高く虫歯を予防します。コーティング剤のピロリドンカルボン酸(PCA)が象牙質をコーティングして守ります。
クリニカアドバンテージコートジェルは、1,450ppm
ライオン「クリニカアドバンテージコートジェル」はフッ素濃度が1,450ppmの歯磨きジェルで、歯の再石灰化を促し、歯の表面をコーティングします。殺菌成分の塩化セチルピリジニウムを配合し口臭、歯周炎を防ぎます。
バトラーエフペーストαは、1,450ppm
サンスター「バトラー」シリーズで最大濃度の1,450ppmのフッ素濃度。フッ素のバリアによって歯の再石灰化とエナメル質、象牙質を虫歯菌から防ぎます。
フッ素がもたらす効果は?
フッ素については、虫歯予防にいいとか歯を強くするという良い効果を耳にする一方で、健康被害を心配する声も多く聞こえます。フッ素は地球上のどこにでも存在する物質のひとつで、飲み物や食べ物にも含まれています。主なフッ素濃度は以下の通りです(引用元:日本歯磨工業会)。
フッ素は体の骨、歯をつくる石灰化に欠かせない物質です。歯から溶け出したカルシウムやリンの再石灰化を促進させ、歯の表面を酸に溶けにくいように修復(再石灰化)する特徴があります。
河川、湖水 | 0.1ppm以下 |
海水 | 1.3ppm |
自然塩 | 2〜20ppm |
めざし | 7〜40ppm |
野菜類 | 0.1〜0.5ppm |
緑茶・紅茶 | 0.2〜0.8ppm |
骨 | 500ppm |
歯エナメル質 | 平均100ppm |
もともとフッ素が虫歯予防に使われだしたきっかけは、20世紀前半にフッ素を含まれる水道水を利用していた人たちが虫歯が少ないことが判明し、1940年代半ばから水道水にフッ素濃度を調整する施策が始まりました。フッ素は歯質を強化し、酸から守って虫歯になりにくくする特徴があります。
フッ素の摂取しすぎには要注意
2017年11月現在、フッ素濃度の基準が1,500ppm以下と定められていて、その基準に沿って各社メーカーがフッ素配合歯磨き粉を作っています。またフッ素濃度は使用する年齢によっても異なり、乳幼児や5歳児以下、14歳以下などのお子さんの成長期によってフッ化物濃度が定められています。以下の表をご参照ください。
年齢 | 使用量 | 歯磨き粉のフッ化物濃度 |
歯の萌出〜2歳児童まで | 豆粒大 | 500ppm(使用を控えた方が望ましい) |
3〜5歳 | 5mm以下 | 500ppm(使用を控えた方が望ましい) |
6〜14歳 | 1cm程度 | 1,000ppm |
15歳以上 | 2cm程度 | 1,000ppm |
フッ素歯磨きの使い方
1・フッ素配合の歯磨き粉は年齢に応じて適量を歯ブラシにつけます。3〜5歳は5mm以下、6〜14歳は1cm程度、15歳以上は1〜2cmが目安です。
2・3分間を目安に歯磨きをゆっくりしましょう。
3・吐き出したら、少ない水(5〜15ml)の水を含み、5秒くらいブクブクうがいを1回します。(すすぎは1回で良いです)
フッ素はフッ化ナトリウムだけじゃない
フッ素配合の歯磨き粉と聞いて、フッ化ナトリウムが書いてあるか確認すると思いますが、実はフッ化ナトリウムだけがフッ素ではありません。「モノフルオロリン酸ナトリウム」や「フッ化第一スズ」もフッ素の仲間です。
1・モノフルオロリン酸ナトリウム配合の歯磨き粉
オーラツー、ピュオーラ、デントヘルス、ディープクリーン、ハイテクと生薬の恵みなどがあります。
2・フッ化第一スズ配合の歯磨き粉
商品としては少ないですが、ホームジェルという商品がフッ化第一スズ配合の歯磨き粉があります。
フッ素とハイドロキシアパタイトの違いは?
歯の再石灰化と聞くとフッ素以外で、ハイドロキシアパタイトを使ったアパガードシリーズを思い浮かべる方もいらっしゃると思います。フッ素は自然界に存在する物質ですが、ハイドロキシアパタイトは日本で開発された薬用成分の一つで、リン酸カルシウムの一種でもあり、エナメル質、象牙質、唾液にも含まれています。虫歯予防効果としては基本的に同じ作用ですが異なる成分です。ハイドロキシアパタイトは歯質と同じ無機物質の超微粒子として再石灰化します。
フッ素を飲み込まないようにしよう
最後に注意点です。フッ素は定められた量を歯磨きなどに使うぶんには良いですが、誤って飲み込んだりするのには注意が必要です。体重1kgあたり2mg以上飲むとフッ素の急性中毒となり、吐き気や腹痛を起こします。特に小さいお子さんには誤飲しないよう注意しましょう。万が一飲んでしまった場合には、すぐに牛乳を飲むことで体内でカルシウムとフッ素が結合し、無毒の物質に変わります。